【令和6年度報酬改定】児童発達支援・放課後等デイサービスの個別支援計画の大幅改定について解説

【令和6年度報酬改定】児童発達支援・放課後等デイサービスの個別支援計画の大幅改定について解説
行政書士 田中
行政書士 田中

奈良・大阪市で障害福祉の指定申請や運営相談を行っている行政書士の田中です。

令和6年度の報酬改定に伴い、児童発達支援や放課後等デイサービスにおける個別支援計画が大きく変更されました。これにより、サービスの提供方法や計画の立て方に新しい基準が導入され、事業者や支援者にとっては適応が求められています。

具体的には何が変わったのでしょうか?そして、それについて私たちはどのような対応が必要になりますか?

行政書士 田中
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では本日は、この児童系の個別支援計画の大幅変更について正しく理解していきましょう!

見落としがちな注意点も含め、障がい福祉事業を得意とする現役の行政書士が分かりやすく丁寧に解説していきたいと思います。

目次

時間区分の創設

短時間(30分未満)の支援は算定不可となり、各児童の支援時間を個別支援計画書に明確に定めることが義務付けられました。また、計画時間と実際の支援時間が大きく異なる場合は、速やかに計画の見直しが必要となります。

  1. 短時間(30分未満)の支援は算定不可
時間区分計画時間
時間区分130分以上 1時間30分以下
時間区分21時間30分超 3時間以下
時間区分33時間超 5時間以下
児童発達支援及び放課後等デイサービスにおける時間区分
  • 放課後等デイサービスについては、学校休業日のみ時間区分3を算定可能。
  1. 予め、個々の児童について支援時間を個別支援計画書に定めておく

 注 意 点 

  • 予め決めた計画時間で算定する
  • 計画時間より実支援時間が短い場合
    • 利用者都合 → 計画時間で算定
    • 事業所都合 → 実利用時間で算定
  • 計画時間より実支援時間が長い場合
    • 利用者都合・事業所都合どちらの場合でも、個別支援計画に定めた計画時間で算定(前もって延長が予測されるような場合は個別支援計画に書いておく
  • 計画時間と実利用時間に乖離がある状態が続く場合は、速やかに個別支援計画の見直しを行うこと
行政書士 田中
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このように、新たに創設された時間区分により、支援の計画と実施においてより厳密な時間管理が必要となります。

延長支援加算の内容変更

延長支援加算についても、これまでの基準が大きく変更されました。

今までの延長支援加算

営業時間が8時間以上で、その営業時間前後に支援を行った際に算定可

変更後

5時間(平日の放課後デイは3時間)を超える支援について算定可

従来の加算条件は「営業時間が8時間以上で、その営業時間前後に支援を行った際」でしたが、令和6年度からは「5時間(平日の放課後デイは3時間)を超える支援」に対して加算が認められるようになりました。

この変更により延長支援加算が適用される時間帯の柔軟性が高まりますが、個別支援計画書に予め記載する必要があるため、計画の詳細な策定が重要となります。

個別支援計画の記入例

 注 意 点 

  • 延長支援加算が算定できるのは1時間以上(計画時間の前後30分ずつを足して1時間はNG)
  • 利用者都合で延長支援時間が短くなった場合、「30分以上1時間未満 61単位」で算定OK
  • 個別支援計画に延長支援についても予め記載する必要があるが、緊急的に生じた延長支援を行った際は「急遽延長支援を必要とした理由」を記録することで算定OK(続くのはNG)
行政書士 田中
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急遽延長支援を行うような状況が続く場合は、 速やかに個別支援計画の見直しを行いましょう。

5領域に沿った支援

新しい支援の枠組みとして、5領域「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の視点をすべて含めた総合的な支援が求められます。

5領域

  • 「健康・生活」
  • 「運動・感覚」
  • 「認知・行動」
  • 「言語・コミュニケーション」
  • 「人間関係・社会性」

この5領域に基づいた支援は個別支援計画書に記載されるだけでなく、令和7年度からは「支援プログラム」として公表が義務付けられ、その内容が明確に関連づけられる必要があります。

行政書士 田中
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「支援プログラム」の中にも5領域との関連性を明確にした支援内容について記載しなければいけません。

インクルージョンの推進

インクルージョンとは?
=障害児の地域社会への参加・包摂
障害の有無に関わらず全ての児童が地域社会で共に成長できる社会の実現を目指す考え方。

  • 保育所等との併行通園や、保育所等への移行
  • 地域との交流の機会など

障害の有無にかかわらず、安心して共に暮らすことができる社会の実現に向けてインクルージョンを推進していくことが重要であることに鑑み、指定児童発達支援事業者は、このインクルージョンの推進に努めなければならないという重要な責任を負うことになりました。

障害児が児童発達支援を通じて地域の保育・教育支援を受けられるようにすることで、全ての児童が共に成長できるよう共生社会の推進が図られています。

個別支援計画の経過措置について

  • 令和6年10月31日までは、別紙「個別支援計画別表」を現行の個別支援計画に添付して使用してもOK
  • 令和6年5月以降に作成する個別支援計画には、全内容を含んだ個別支援計画書を作成する必要がある

まとめ

令和6年度の報酬改定により大きく変わる点について、注意点なども踏まえて解説しました。

令和6年度の報酬改定は、これらの新しい基準や変更に対応するための大きな転換期となっています。

事業者や支援者はこれらの変更に迅速に対応し、質の高い支援を提供できるよう計画の策定や実施において細心の注意を払う必要があります。

内容を正しく理解することはもちろん、利用者様のためにも適切な個別支援計画を実施していきたいですね。

行政書士 田中
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弊所では報酬改定や個別支援計画に関するご相談も承っておりますので、お気軽にご連絡くださいませ!

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この記事を書いた人

奈良で開業して17年目を迎える行政書士法人LSRコンサルティングに所属する現役の行政書士。
障害福祉業務を得意とし、障害福祉サービス事業の開業・指定申請・許認可等に取り組む事業主様・個人様に向け障害福祉サービス事業情報を発信。

"初めての方にもわかりやすく"をコンセプトに障害福祉サービス事業情報をお届けします。

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