事故ヒヤリハット報告書の重要性について解説


こんにちは、奈良・大阪市で障害福祉の指定申請や運営相談を行っている行政書士の田中です。今日は重大事故にまつわる大切なお話しについてです。
皆さまの事業所では、「事故ヒヤリハット報告書」を作成されているでしょうか?
たまに「事故なんてないから書いていません」と仰る事業所様もありますが、果たしてそうでしょうか??
重大事故は突然起きるものではありません。1件の重大事故の背景には、29件の軽傷事故や300件もの“ヒヤリハット”が潜んでいると言われています。
この“ヒヤリハット”は、見過ごされがちな小さな出来事ですが実は重大事故の予兆とも言える重要なサインです。日々の業務の中でこうしたサインに目を向け、対策を重ねていくことが重大事故を未然に防ぐための最善策となります。
普段から
- なぜヒヤリとしたのか
- どうすれば再発を防げるのか
を考え、行動に移すことで、大きな事故を未然に防ぐ安全な環境を築いていきましょう。
些細な“ヒヤリ”は、日常の支援の中でも起こっているのではないでしょうか?
重大な事故を未然に防ぐためにも、日々の「ヒヤリハット」を見逃さずに記録し、対策を講じることが大切です。
そしてもう1つ重要な視点として、「事業所を守る」ためにもヒヤリハット報告書の作成が必要であることを意識していただきたいと思います。
確かに、普段から見かけるような些細なことには慣れが出て、無意識にスルーしているかもしれません。


忙しかったり普段から流れ作業的な意識で対応してしまうと、どうしても慣れが出てきます。その意識から変えていきたいですね。
でも「事業所を守る」とは一体どういう意味なのですか?


はい、本日のお話しの重要なポイントになります。
それでは事例を2件ご紹介します。ご自身の事業所で本当に起きてしまったら?と具体的にイメージしながら見ていきましょう。
事例1:転倒事故の場合
例えば、普段からつまずきやすい利用者さんがいるとします。その方がある日転倒し、頭を打って大けがをしてしまった場合、行政は重大な事故として動かざるを得ません。この際、事業所の対応が厳しく問われることがあります。
「つまずきやすい利用者さん」という情報が把握されていたのに、対策を講じなかったとなれば、「見過ごしてきた」と判断される可能性もあるでしょう。
しかし、日頃からヒヤリハット報告書に次のような記録があればどうでしょうか?
○○さんが電気コードにつまずいた。最近、事業所内で何かにつまずくことが多いので、段差や障害物を減らす対応を行った。
こうした記録が残っていれば、行政からも「この事業所は普段からしっかり対応している。それでも防ぎきれない事故だったのだ」と評価される可能性が高まります。
事例2:虐待通報の場合
もう1つの例として、他害行動がある利用者さんのケースを考えてみましょう。
仮に、その利用者さんが他の利用者に襲いかかろうとし、支援者がとっさに静止するために覆いかぶさったとします。その後、覆いかぶさられた利用者さんが「虐待された!」と行政に通報した場合、行政は通報を受けて何らかの対応を取る必要があります。
しかし、日々のヒヤリハット報告書や日報に以下のような記録があれば、状況は変わるかもしれません。
○○さんが他の利用者に襲いかかろうとしたため、支援者が静止した。
○○さんの他害行動が頻繁に見られるため、事前にこうした対応が必要であると判断していた。
こうした記録の積み重ねが、行政に「これは虐待ではなく、必要な対応だった」と理解してもらう助けになります。
記録は事業所の防波堤
このようにヒヤリハット報告書や日報の記録は、事故やトラブルを未然に防ぐだけでなく、万が一不利な状況に陥った際、事業所を守る盾にもなります。
日常の些細な事象も見逃さず記録を積み重ねることで、安全で信頼される事業所運営を実現しましょう。
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