処遇改善加算一本化での変更点とは?臨時特例交付金についても解説
令和6年度より、処遇改善加算の見直しが行われ一本化されることになりました。
今回の見直しで、具体的には何が変わるのでしょうか?
奈良・大阪市で障害福祉の指定申請や運営相談を行っている行政書士の田中です。
本日は、R6年度から一本化される処遇改善加算および臨時特例交付金について分かりやすく解説していきたいと思います。
現行のしくみと問題点
現行は、以下の3段階で構成されています。
- 処遇改善加算
- 特定処遇改善加算
- ベースアップ等支援加算
日々の支援に忙しい事業所の方たちにとって
- 上記3段階の中に、それぞれⅠ~Ⅳまでルール区分があり複雑
- 計画書・報告書の提出も義務付けられている
といった問題点を抱えるケースもあり、算定できる要素はあるものの実際にはしていない事業所も多かったようです。
そこで今回見直しが行われ、R6年度より分かりやすく一本化されることとなりました。
今回の見直しで大きく変わった点とは?
今回の変更点は主に3つです。
配分できる範囲が広がった
現行の処遇改善では福祉・介護職員のみしか配分できない加算もありました。
(ベースアップはサビ管や管理者にも配分できますね)
しかし、新加算では
福祉・介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとするが、事業所内で柔軟な配分を認める。
とされています。
つまり、事務員さん、サビ管、理学療法士・看護師などの医療職員にも配分が可能になるかもしれません。
管理者やサビ管には配分できない加算もある。
管理者やサビ管、事務員、理学療法士・看護師などの医療職員にも配分が可能になるかもしれない。
職場環境要件の見直し
現在、処遇改善加算の計画書を提出している事業所であれば、計画書の最後の方のページにある以下のような「6.職場等環境要件」を見たことがあるかと思います。
処遇改善加算の場合:6区分中の全項目の中で1つ以上の取り組みで算定可能
特定処遇改善加算の場合:6区分中3区分を選択し、それぞれから1項目以上の取り組みで算定可能
「生産性向上のための業務改善の取組」の項目が増やされ、新加算Ⅰ~Ⅳによって、取り組まなければいけない項目の数が異なる。(令和6年度中は見直しの猶予期間)
現行よりは取組項目が増える。
新加算Ⅳの1/2以上は月額賃金で配分
ベースアップ加算を取得している事業所は、毎月ベースアップ加算分の2/3以上を毎月の給料に上乗せして支払わなければいけない。
Ⅰ~Ⅳのうち、どの新加算をとっている事業所もⅣにあたる額の1/2以上は毎月の給料に上乗せしなければいけない。
次は臨時特例交付金についてです。
福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金について
新加算に変更される前に、介護職員の賃上のための取組を継続することを前提として、令和6年2月~5月の賃上げ引き上げ分にあたる1人あたり月額約6,000円が交付されます。
約6,000円というのは、各サービスの交付率x報酬総額から割り出される平均的な金額です。
交付率は下記の通りです。
児童発達支援事業所を例に計算してみましょう。
ある月の総報酬(基本報酬+加算減算)x 地域単価 = 3,000,000円
交付率
1.1%3,000,000円 x 1.1% = 33,000円
つまり33,000円が交付金として支給されることになります。
交付金の詳細に関しては、厚生労働省の下記URLをご覧ください。
まとめ
新加算I~Ⅳについては、経過措置として新加算によって加算率が下がった事業所でも1年間はこれまでの加算額を維持することが認められています。
また、通常の処遇改善加算であれば指定権者へ計画書の提出を行っていますが、臨時特例交付金については都道府県が申請先になる予定です。
都道府県からの書式発表を待ちながら、準備を進めましょう。