令和4年度より義務化!虐待防止・身体拘束の適正化対策について解説

令和4年度より義務化!虐待防止・身体拘束の適正化対策について解説
行政書士 田中
行政書士 田中

奈良・大阪市で障害福祉の指定申請や運営相談を行っている行政書士の田中です。
本日は虐待防止・身体拘束の適正化についてです。

令和3年度障害福祉サービス等報酬改定により、以下のような虐待防止・身体拘束の適正化についての内容が令和4年4月から義務化されているのをご存じですか?

  • 虐待防止委員会の定期的な開催と、委員会での検討結果の従業者への周知徹底
  • 従業者への定期的な虐待防止研修の実施
  • 虐待の防止等のための責任者の設置
  • 身体拘束等の適正化のための対策を検討するための委員会の定期的な開催と、委員会での検討結果の従業者への周知徹底
  • 身体拘束等の適正化のための指針の整備
  • 従業者への定期的な身体拘束等の適正化についての研修の実施

これらがきっちりと整備されていないと、実地指導でも指導の対象になります。

行政書士 田中
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それではさっそく、それぞれの項目を詳しく解説していきましょう。

目次

虐待防止委員会について

事業所は虐待防止委員会を定期的に開催し、その委員会での検討結果を従業者へ周知徹底しなければなりません。

虐待防止委員会役割とは?
  • 虐待防止のための計画づくり
    (虐待防止の研修、労働環境・条件を確認・改善するための実施計画づくり、虐待防止のための指針の作成等)
  • 虐待防止のチェックとモニタリング
  • 虐待発生時やその疑いが生じた場合、検証結果と再発防止策の検討内容や結果を従業者へ周知・徹底
行政書士 田中
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その他にも気を付けたいポイントがいくつかあります。

  • 委員会は定期的(年1回以上)に開催し、記録を残すこと
  • 委員の責務及び役割分担を明確にすること
  • 虐待防止担当者を決めておくこと
  • 委員会の開催に必要となる人数は、虐待防止担当者と管理者が参加していれば最低人数を問わない
  • 外部の第三者を加えることが望ましい
  • 法人単位での設置も可能
  • 身体拘束適正化委員会と一体的に設置・運営可能

虐待防止研修の実施

事業所は従業者への定期的な虐待防止研修を実施する必要があります。実施方法については内部研修もしくは外部研修、いずれも問いません。

研修の内容としては、例えば

  • 管理職を含めた職員全体を対象にした、虐待防止や人権意識を高めるための研修
  • 職員のメンタルヘルスの支援に焦点を当てた研修
  • 障害特性を理解し、適切に支援が出来るような知識と技術を獲得するための研修

など、虐待防止に留まらず予防的なアプローチを採用するため、事前に問題を防ぐための研修も含まれます。

行政書士 田中
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気を付けたいポイントはこちらです。

  • 研修は定期的(年1回以上)に開催し、記録(内容、日時、参加者)を残すこと
  • 新規採用時に虐待防止の研修を実施
  • 研修対象者関係職員全員に対して行うことが望ましい
  • 虐待防止の指針を定めている事業所は指針を周知・徹底

虐待防止責任者の配置

虐待防止委員会や虐待防止研修の定期開催について、適切に実施するための虐待防止担当者を配置することが義務付けられています。

「虐待防止のための措置」を運営規定に定める

虐待を早期に発見して迅速かつ適切な対応が図られるための必要な措置について、運営規程に定めることが必要です。

具体的には以下の内容です。

  • 虐待防止委員会の設置
  • 従業者に対する虐待防止研修の実施
  • 虐待防止責任者の選定
  • 苦情解決体制整備
  • 成年後見制度の利用支援(障害児通所支援事業者を除く)

運営規程にすべてを列挙する必要はありませんが、「虐待防止のための措置」については必ず記載します。

行政書士 田中
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義務化されてからは市町村の運営規定のフォーマットに虐待防止の項目が記されていますが、義務化以前に指定を受けていて運営規定を変えていない場合は注意が必要です。

身体拘束適正化検討委員会について

不当な身体拘束は虐待にあたります。

しかし、他害や自傷行為がある場合には一時的にやむを得ず拘束が必要な場合があります。

以下の3要件全てに当てはまる状態にある場合に限り、必要最低限の身体的拘束を行うことはやむを得ないものとされています。

  • 切迫性
    児童本人又は他の児童の生命又は身体が危険にさらされる可能性が著しく高い。
  • 非代替性
    身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替手法がない。
  • 一時性
    身体拘束その他の行動制限が一時的で、できるだけ短い時間に限られたものである。

その場合の運営基準は以下の通りです。

従業者

身体拘束の状況(態様、時間、利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由等)を記録し、身体拘束適正化検討委員会へ報告する。保護者や利用者の同意も必要。

身体拘束適正化検討委員会

報告された内容について状況を分析・検討し、結果を従業者に周知・徹底する。

適正化策を行った結果の検証を行い、再発防止や拘束等を行わない支援方法の検討につなげる。

行政書士 田中
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そして以下は身体拘束適正化検討委員会の留意点です。

  • 委員会は定期的(年1回以上)に開催し、記録を残すこと
  • 委員の責務及び役割分担を明確にし、専任の身体拘束等の適正化対策を担当する者を決めておくこと
  • 委員は事業所に従事する幅広い職種により構成すること
  • 第三者や専門家を加えることが望ましい
  • 事業所単位ではなく法人単位での設置も可能
  • 虐待防止委員会と一体的に設置・運営可

身体拘束等の適正化のための指針を整備する

事業所は身体拘束等の適正化のための指針を整備する必要があります。

指針を整備するにあたっては、以下7つの項目を記載します。

  • 事業所における身体拘束等の適正化に関する基本的な考え方
  • 身体拘束適正化検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
  • 身体拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針
  • 事業所内で発生した身体拘束等の報告方法等の方策に関する基本方針
  • 身体拘束等発生時の対応に関する基本方針
  • 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
  • その他身体拘束等の適正化の推進のための必要な基本方針

身体拘束廃止未実施減算について

以下のいずれかの基準を満たしていない場合は、利用者全員に対して基本報酬を5単位/日減算されます。

  • 身体拘束等について必要な記録を行う
  • 身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を定期的(年1回以上)開催及び、検討結果を従業者に対し周知徹底を図る
  • 身体拘束等の適正化のための指針を整備する
  • 従業者に対し、身体拘束等の適正化のための研修を定期的(年1回以上)実施する

実地指導でも必ず見られる部分ですね。
適正に整備しておきたいです!

行政書士 田中
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弊所では各委員会の設置や指導についてもご相談等を承っております。ので、お気軽にご連絡くださいませ!

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この記事を書いた人

奈良で開業して17年目を迎える行政書士法人LSRコンサルティングに所属する現役の行政書士。
障害福祉業務を得意とし、障害福祉サービス事業の開業・指定申請・許認可等に取り組む事業主様・個人様に向け障害福祉サービス事業情報を発信。

"初めての方にもわかりやすく"をコンセプトに障害福祉サービス事業情報をお届けします。

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